紀要29号特集テーマのお知らせ

紀要編集委員会より29号の特集テーマのお知らせです。9月末の投稿締め切りに向けて是非ご準備ください。

ICTと国際理解教育

新型コロナの感染拡大は、我々の社会生活を一変させた。外出自粛で人と人との直接的なやりとりが大きく制限される不自由さの一方で、テレワーク、オンライン授業など、結果的に我々の生活様式に新たな選択肢がもたらされた。これらの選択肢は、もはや非常事態時のみの対応ではなく、ポストコロナにあっても、社会生活に根付くことが予想される。良くも悪くも、日本が提唱する未来社会のコンセプトであるSociety 5.0が今後加速されることになるであろう。

内閣府によると、Society 5.0は、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」のことであり、その社会ではIoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、人工知能(AI)により必要な情報が必要な時に提供されるようになる。そしてその中心に位置付くのは、ICT(Information and Communication Technology)すなわち、人とインターネットをつなぐことにより、人と人をつなぐ技術である。

当然ながら、ICTの社会への浸透は、教育にも様々な変革をもたらしている。文部科学省のGIGAスクール構想の前倒しにより、児童生徒一人一台のPC端末および高速ネットワークの整備、それに伴う指導体勢や教材の整備が急速に進むこととなった。その結果、ICT活用の授業、教科等横断的学習、外に開かれた教育課程は既にめずらしいものではなくなっている。その一方で、情報へのアクセス、情報リテラシーなどの格差いわゆるデジタルディバイドの問題、学校や教師の役割の変化なども顕在化しつつある。

国際理解教育の取り組みに関わっても、ICTは大きな影響を与えており、例えば学校教育では、ICT活用により国内外を問わず外部人材と直接やりとりする授業も見られるようになっている。そのような授業において、今後は国外のゲストと機械翻訳を利用してやりとりを行ういわば言語の壁を越える実践も可能となるであろう。また、民間のNGOあるいはNPOの活動についても同様であり、ICTが、組織内外の連絡、資料管理、寄付者管理、人材募集などにおける新たな形態を提供したといえよう。

本特集「ICTと国際理解教育」では、本学会員の多様な観点あるいは教育実践に基づきながら、ICTを活用した教育・活動のあり方とその諸問題を、国際理解教育の視点から検討することを目的とする。

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