『国際理解教育』25号特集論文募集のお知らせ
紀要編集委員会より
『国際理解教育』25号特集論文募集のお知らせです
以下のテーマで論文を募集いたします。ぜひご準備ください。
投稿規定は学会紀要をご確認ください。
「グローバル人材」育成と国際理解教育
グローバル化の進行する中で、多様な価値観をもつ人々と共に生きていく力が求められている。近年、日本では、「グローバル人材」育成が叫ばれ、さまざまな教育プログラムが推し進められている。たとえば、グローバル・リーダーを育てるスーパーグローバルハイスクール(SGH)の創設がすすめられ、2018年までに国際バカロレア(IB)認定校等を200校に増やすことや、2020年までに高校生・大学生の海外留学を倍増することが目指されている。
こうした施策の背景には、ユネスコが推進しているGlobal Citizenship Education(GCED)やSDGsと共鳴する部分があり、日本政府によるこれらの推進は一見、国家をあげた国際理解教育の推進であるようにみえる。
しかし、そうした施策をすすめるもととなっている「日本再興戦略 -JAPAN is BACK-」(2013年6月閣議決定)は、「今や日本の若者は世界の若者との競争にさらされている」とした上で、「初等中等教育段階からの英語教育を強化し、高等教育等における留学機会を抜本的に拡充し、世界と戦える人材を育てる」と述べている。このように、国際競争に勝てる人材の育成という、露骨な経済・産業界の要請に追随することは、人格の形成や個人の幸福の追求といった、教育に固有の論理を損なうという見方もある。また、「グローバル人材」の三要素のひとつとして、「異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー」が共に並べられている(「グローバル人材育成推進会議中間まとめ」2011年6月)ことに表れているように、「グローバル人材」育成が国家主義の進行と背中合わせであることにも注意が必要である。
そこで、本特集では、国際理解教育は「グローバル人材」育成にどのように向き合えばよいのかを明らかにしていく。とりわけ、近年注目が集まるIB校やSGHといった特色ある学校において、どのような国際理解教育が行われているのかを究明する。すなわち、「グローバル人材」育成を目指す教育プログラムを多角的に再検討することを通して、国際理解教育の多様な実践のあり方やそこに潜む課題を明らかにしていく。