研究推進委員会活動報告
日本国際理解教育学会研究推進委員会は、2026年3月15日(日)に、早稲田大学3号館において「実践・研究交流会—活動を語り合うことから—」を開催しました。教員、大学教員、大学院生、企業関係者など、多様な背景をもつ10名の参加者にご参加いただきました。
本企画は、国際理解教育に関わる実践や研究を、その成果としてではなく、それぞれの背景や文脈に根ざした「活動」として捉え、互いに語り合うことで交流と学びあいの場を創出することを目的として実施されました。実践や研究の「良し悪し」を論じるのではなく、その背後にある想いやジレンマ、試行錯誤や工夫といった側面にも目を向けながら、参加者同士が経験を共有し、相互に学び合うことが企図されました。
当日は、南雲勇多氏による趣旨説明の後、由井一成氏によるアイスブレイクが行われ、企画のねらいや進め方についての説明がなされました。その後、参加者は2つのグループに分かれ、それぞれの実践や研究における経験、葛藤、いわゆる「もやもや」といった側面について紹介し合いました。参加者同士が互いの語りを受け止めながら質問を重ね、それぞれの実践や研究の背景にある前提や意図を掘り下げていく様子が見られました。最後には、各グループでの学びが全体で共有されました。
自己紹介の段階から、研究の相談相手の不足や、実践の論文化の難しさ、学会内でのつながりへのニーズなどが共有され、こうした場の重要性を改めて実感する機会となりました。本企画は、参加者同士のネットワーク形成や、実践や研究を言葉にしていくための一歩を支える場としても意義深いものであったと考えられます。
さらに、議論の中では、個人的経験の教材化とその倫理、当事者性の捉え方、他者の問題を扱うことの難しさ、研究プロセスを共有することの意味、多文化共生教育における制度と個人経験の関係など、今後の実践や研究につながる多くの示唆が共有されました。
本企画の意義として、実践や研究の「成果」そのものではなく、その背後にある思いや葛藤、試行錯誤を安心して語り合える場を設けることができた点が挙げられます。ラウンドテーブルでは、参加者の皆様が率直に経験や迷いを共有されており、研究や実践に関わる「弱さ」も含めて語ることのできる、あたたかな雰囲気が生まれていたことが印象的でした。一方で、交流は「語る」「共有する」という段階では十分に機能していたものの、今後は信頼関係を基盤としながら、建設的に問い返し合い、さらに深めていく場をどのようにつくっていくかという点も見えてきました。また、大学、学校、市民活動など、それぞれの実践や研究の前提の違いに触れられたことも、今後の対話を広げていく上で重要な気づきとなりました。
ご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。本企画を通して生まれたつながりや気づきが、それぞれの実践や研究の中でさらに広がっていくことを願っております。今後も、研究推進委員会では、こうした語り合いと学び合いの場を継続してまいりますので、ぜひ多くの皆様にご参加いただければ幸いです。

