会長あいさつ

永田 佳之

スリランカ・ペラデニヤ大学にて

第7代会長 永田佳之

日本国際理解教育学会のDNA

 去る2022年6月11日に日本国際理解教育学会第31回研究大会に併せて開催された総会にて第7代日本国際理解教育学会会長を拝命いたしました。微力ではございますが、皆さまと共によりよい学会づくりに励んでまいりたいと思っております。3年間、どうか宜しくお願い致します。 会長職に就くにあたり、自問してみたことがあります。それは、日本国際理解教育学会のDNAとは何かという問いです。
 たしかに、会員に大学教員のみならず現場の教師が少なくないこと、実践者と研究者が共に研究を進めており、そうした協働が研究会や紀要にも反映されていること、韓国や中国と共同研究を推進していることなどを指摘できるのかもしれません。しかしこれらは他学会でも見られる特徴でもあります。そうこう考えながら学会の歴史をふり返ると、初代会長が天城勲先生であることは殊の外、意味深長なのではないかと思うに至りました。国内の教育改革はもとより、35年以上にわたり関わられたユネスコをはじめ、OECDや日米教育文化会議などで国際的にも活躍した天城先生は、ユネスコの記念碑的な報告書『学習:秘められた宝』の一著者でもあり、元日本ユネスコ国内委員会会長であり、ユネスコ本部職員からも尊敬されていた日本人でした。もちろん文部次官まで務められた官僚という見方もできるでしょうが、本学会にとっての天城先生は国際理解教育の国際的な唱道者であり、世界平和を希求する国際人としてのIsao Amagiなのだと思います。
 小生の恩師である千葉杲弘先生(本学会元理事)を通して、天城先生とは直接お話しする機会に幾度か恵まれました。いずれも浅学非才の大学院生時代でしたが、その時の会話は今でも鮮明に覚えています。ある日、小生が国際通の行政官としてどのようにお仕事をされてきたのかという無粋な質問をしたことがあります。その時の答えは「岩壁を登るように、どこにハーケンを打つかを考えながら仕事をしています」でした。おそらく本学会の誕生も打ち込まれたハーケンの1つなのでしょう。
 ウクライナやミャンマーの惨状を挙げるまでもなく、国際理解教育をめぐる情勢は待ったなしです。岩壁はより険しくなっているに違いありません。そんな情勢下で、国際理解というミッションを担う私たちはどこにハーケンを打ち進むべきなのか・・・しばらくは正答のない問いを携えながらの舵取りになりそうです。
 不確実性の時代の舵取りは困難ではありますが、最後に、この3年間でハーケンを打つべき方向性について私見としてお伝えできればと思います。
 本学会には沢山の「宝」がありますが、その1つは現場の教師及び地域の活動家の会員です。そのような会員の皆様が国際的な潮流と出会い、視野を広げ思考を深めていく機会を積極的に提供していきます。また、昨今の厳しさを増す労働環境の中でも地道に実践を重ねておられる会員は少なくありません。そうした会員をはじめ、予測困難な時代を生きる実践者や研究者がエンパワーされるようなネットワークを整えていきます。さらに若手の会員とベテラン会員が活躍する舞台を設け、会員増につなげたいと考えております。
 前会長の森茂岳雄先生より受け継いだ課題も優先的に取り組んでまいります。J-Stage(科学技術情報発信・流通総合システム)への登録による会員の皆様の研究成果の迅速な普及、学会規約の整備・改編など、いずれも学会の基盤固めとなる重要課題です。
 おりしも本年は国連人間環境会議の開催から半世紀が経つ節目の年であり、皮肉にもその年に勃発したのがウクライナ侵攻でした。激動の国際情勢の中、来年のユネスコ総会に向けて国際理解教育の原点とも言える「国際教育勧告」の見直しも着手されており、国際理解教育の基盤そのものが変容を迫られています。
 混迷の度合いを深める時代であるからこそ、いま一度、初志に立ち戻り、現代の文脈の中でその可能性と課題を見極めながら会員の皆様の学びの活性化と深化に寄与していく所存です。そのためにまずもって必要なのは、お一人おひとりの積極的な参加です。どうか学会活動へのご尽力を惜しまれることのないよう、お願い申し上げます。

歴代会長あいさつ文

  • 継承と創造̶新たな飛躍に向けて
    第6代会長 森茂 岳雄

  • 成果の継承と次世代にむけての創造―新たな3年間を迎えて
    第5代会長 藤原 孝章

  • 新たな10年に向けて
    第4代会長 大津 和子

  • 明日の地球社会に 「希望の未来」をもたらす学会へ
    第3代会長 多田 孝志

  • 充実したステップ期の創出を
    第2代会長 米田 伸次

  • 国際理解教育の視点
    初代会長 天城 勲

学会諸規程

規約

第1条(名称) 本会は、日本国際理解教育学会 (Japan Association for International Education) と称する。

第2条(目的) 本会は、国際理解教育の研究と教育実践にたずさわる者が、研究と実践を通じて、国際理解教育を推進し、その発展に寄与することを目的とする。

第3条(事業) 本会は、前条の目的を達成するために次の事業を行う。
 (1)年次大会の開催、その他の研究会の開催
 (2)会報、紀要等の出版物の編集・刊行
 (3)研究調査活動の実施と促進
 (4)海外の研究者・教育実践者との交流
 (5)その他、本会の目的を達成するに適当と思われる諸活動

第4条(会員) 会員は、正会員、学生会員、団体会員とする。
2. 正会員は、本会の目的に賛同する者とする。正会員になろうとする者は、正会員 1 名の推薦を受けて、事務局に届け、理事会の承認を得るものとする。
3. 学生会員は、本会の目的に賛同し、学生の身分を有する者とする。学生会員になろうとする者は、正会員1名の推薦を受けて、事務局に届け、理事会の承認を得るものとする。
4. 団体会員は、本会の目的に賛同する団体とする。団体会員になろうとする団体は、正会員1名の推薦を受けて、代表者が事務局に届け、理事会の承認を得るものとする。団体会員は、議決事項を除き、本会の事業に参加できる。
5. 会員は、入会金及び会費を納入しなければならない。
6. 会員は、会費の納入を怠った場合、会員としての資格を失うことがある。

第5条(会費) 入会金及び会費の金額は理事会が提案し、総会において決定する。
2. 正会員の会費は、年額8,000円とする。
3. 学生会員の会費は、年額4,000円とする。
4. 団体会員の会費は、年額30,000円とする。
5. 入会金は、3,000 円とする。

第6条(役員) 本会の事業を運営するために次の役員を置く。役員は正会員が担うこととする。
 会長 1名
 副会長 1名又は2名
 事務局長 1 名
 理事(常任理事を含む) 若干名
 監事 2名
2. 会長は、会務を統括し、本会を代表する。
3. 副会長は、会長を補佐し、会長が事情によってその職務を遂行できない場合は、それを代行する。
4. 事務局長は、常任理事を兼務し、本会の事務を所掌する。
5. 理事は、選挙によって選出される者(選挙選出理事)と本会の研究活動の推進及び専門領域等の均衡を図るために会長の推薦によって選出される者(会長推薦理事)からなり、理事会を組織し、本会の事業を企画・執行する。
6. 常任理事は、常任理事会を組織し、本会に設置される委員会及び各種事業を企画・執行する。
7. 監事は、本会の会計を監査する。

第7条(役員の選任) 選挙選出理事は、会員の投票により正会員から選出される。選出方法は、理事会において別途定める。
2. 会長推薦理事は、会長が正会員の中から推薦し、総会の承認を得る。但し、会長推薦理事の数は選挙選出理事の半数を越えることはできない。
3. 会長及び副会長は、選挙選出理事の互選により選出し、総会の承認を得る。
4. 常任理事は、選挙選出理事の互選により相当数を選出し、総会の承認を得る。
5. 事務局長及び監事は、会長が提案し、総会の承認を得る。

第8条(役員の任期) 役員の任期は3年とする。但し、再任は妨げない。任期が開始する年度の4月1日時点において満70歳以上の者は役員となることができない。

第9条(顧問) 本会には顧問を置くことができる。
2. 顧問は、理事会の推薦によって会長が委嘱する。
3. 顧問は、本会の事業に関する会長の諮問に応じ、また、必要に応じ本会の事業に関し、会長に意見を具申することができる。

第10条(総会・理事会・常任理事会) 本会に総会、 理事会及び常任理事会を置く。
2. 総会は、正会員、学生会員をもって組織し、本会の最高の議決機関として、本会の事業及び運営に関する重要事項を審議し決定する。総会は定例総会及び臨時総会とし、定期総会は年1回の年次研究大会のときに開催する。臨時大会は会長が必要と認める場合、随時開催する。総会での議決は原則として出席者の過半数をもって行う。
3. 理事会は、会長及び理事をもって組織し、総会に提出する本会の事業並びに予算・決算に関する議案を審議する。
4. 理事会は、理事の3分の2以上の出席をもって開催することができる。
5. 常任理事会は、会長、副会長及び常任理事をもって組織し、理事会の委嘱を受けて本会の業務を執行する。
6. 理事会、常任理事会には必要に応じ、構成員以外の者の出席を認めることができる。

第11条(委員会・各種事業) 本会には、各委員会、 各種事業担当部署を置く。
2. 本会に常置する委員会は、紀要編集委員会、研究・実践委員会、国際委員会、広報委員会とする。
3. 各委員会の業務は、理事会において定めるものとする。
4. 会長の発議により、本会に特別委員会を置くことができる。特別委員会の設置期間及び業務は、理事会において定めるものとする。
5. 各委員会は、理事によって組織し、当該委員会の業務を執行する。
6. 各委員会の長は常任理事とし、会長が委嘱する。
7. 各委員会の副委員長は委員長の委嘱もしくは委員の互選とする。
8. 各委員会に協力委員を若干名置くことができる。協力委員は本学会員とし、理事会の承認をもって委嘱する。
9. 各種事業は、常任理事会が管掌し、必要に応じて担当理事及び協力委員を若干名置くことができる。

第12条(所在地・事務局) 本会の事務局を名古屋市瑞穂区瑞穂町字山の畑1 名古屋市立大学大学院人間文化研究科 曽我幸代研究室に置く。
2. 事務局には事務局長に加えて、職員を若干名置くことができる。
3. 事務局に職員を置く場合は、正会員の中から事務局長が推薦し、理事会及び総会の承認を得る。

第13条(会計)本会の経費は会費、入会金、寄付金、その他の収入をもってこれにあてる。
2. 本会の会計年度は毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。

第14条(規約の改正)本規約は、理事会の承認を得て、総会出席者の3分の2以上の賛成をもって改正することができる。

付則1 この規約は 1990(平成 2)年1月26日の日本国際理解教育学会の設立総会において制定し、その日より発効する。
付則2 この規約は 1995(平成 7)年1月22日から施行する。
付則3 この規約は 1998(平成 10)年6月14日から施行する。
付則4 この規約は 2001(平成 13)年4月1日から施行する。
付則5 この規約は 2001(平成 13)年6月9日から施行する。
付則6 この規約は 2004(平成 16)年6月6日から施行する。
付則7 この規約は 2007(平成 19)年7月28日から施行する。
付則8 この規約は 2010(平成 22)年7月3日から施行する。
付則9 この規約は 2011(平成 23)年4月1日から施行する。
付則10(委員会・各種事業に関する条項の追加等に伴う一部改正)この規約は 2016(平成 28)年4月1日から施行する。
付則11(事務局所在地の変更に伴う一部改正)この規約は 2017(平成 29)年4月1日から施行する。
付則12(条文の精緻化等に伴う一部改正)この規約は 2019(令和元)年6月15日から施行し、2019年4月1日から適 用する。
付則13(事務局移転に伴う一部改正) この規約は2022(令和4)年6月11日から施行する。

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倫理綱領

 日本国際理解教育学会は、多様な文化や社会事象を対象とする広領域かつ横断的で総合的な研究を推進して社会に貢献することが期待されている。したがって、本学会の会員(以下、会員)は、この期待に応えて、基本的人権 を尊重し、学会としての社会的責任を履行して、会員による研究の妥当性と公正性を高めることが求められている。これらの実施に当たって、以下の倫理綱領を制定する。
 本綱領は、会員が心がけるべき倫理綱領であり、会員には自覚と責任をもって国際理解教育の下、研究・教育・実践活動において、その対象者の健全な成長と教育研究の発展に寄与することが求められる。
 本学会は、上記の主旨に基づき、以下の条項を定める。

1. 基本的人権の尊重
 会員はすべての人間の基本的人権と尊厳を尊重し、研究の対象者、及び活動に関わるすべての組織・集団と個人の権利を侵害しないよう努力しなければならない。

2.研究の実施に伴う責任
 会員は、研究の実施にあたって、国際理解教育の発展に寄与しようとする積極的意思をもたなければならない。研究の対象に対して常に敬意を払い、並びに事実の公平・公正な解釈と事実に基づく証明に努めなければならない。 研究成果を捏造してはならない。

3.成果の公表に伴う責任
 会員は、研究成果の公表に際しては、以下の点に留意し、研究者としての社会的責任を自覚して行わなければならない。
(1)調査協力者には事前に承認を得て、本人の了解なしに個人が特定されることがないようにする等、個人のプライバシー、及び社会的規範を侵す行為をしてはならない。
(2)研究成果の剽窃・盗用、データの改ざん・捏造等、著作権を侵害するような行為をしてはならない。
(3)二重投稿(他学会紀要等に、同一時期に内容・記述が大幅に重複する研究論文を投稿)してはならない。
(4)共同研究の場合には、共同研究者の同意を得るとともに、その権利と責任に十分配慮しなければならない。

4.情報提供者・研究協力者への説明責任・人権尊重
 会員は、研究のための情報提供者・研究協力者について、研究の目的、方法およびその成果の公表に関して説明責任を負うとともに、情報提供者・研究協力者の人権を尊重し、個人情報などの秘密保持に配慮し、名誉を傷つけることおよび身体的苦痛や心理的苦痛を与えることがあってはならない。

5.秘密保持・情報管理
 会員は、教育・研究等の活動にともなって得られた情報を厳重かつ適正に管理し、研究等に関わる社会的規範の範囲をこえて、こうした情報等を目的以外に使用してはならない。併せて、プライバシーに関わる情報については、関連する法規範を遵守しなければならない。

2018年6月16日総会にて承認

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設立について

設立

日本国際理解教育学会は、1991(平成3)年1月26日に東京都港区の「はあといん乃木坂健保会館」において設立総会を開き誕生しました。設立発起人は天城勲現会長他41名の各界の方々で、会員数290名でした。

設立の趣旨

 設立総会で配布された設立の趣旨は次のようになっています。
「21世紀を目前に控え、東西対立の冷戦構造が緩んで世界は新しい秩序をもとめて模索をはじめた。物、金、情報そして人間が国境を越えて活発に交流し合い、各国、国民の相互依存関係がますます強まってきた。
反面、民族、伝統、文化、言語等の違いによる競争、対立、誤解、摩擦も日常化し、国民相互の理解交流の大切さを示している。さらに環境問題など地球規模の新しい課題が我々の視野を全人類と来たるべき世紀に向けさせている。
人々の心に平和の砦を築くという精神の下に、ユネスコが永年唱えてきた平和と異文化理解を軸とする国際教育の必要性が今日ほど高まったときはない。国際教育は知識、技術、思考力、価値観、態度形成にわたる教育実践である。
生涯教育の場で、学校、家庭、地域、社会のあらゆる機会を利用し、関係者の連携と協力の体制を整える必要がある。
東洋の太平洋に浮かぶ我が国が、21世紀に向けて、東洋と西洋を結び、南と北を繋ぎながら、世界の諸国民と平和共存するためには、人々の心に国際教育の重要性を訴えなければならない。
我々はここに、研究者、教育実践者、その他の関係者を糾合して、日本国際理解教育学会を発足させ、国際教育の研究と実践、諸国民との交流を通じて、我が国の国際教育の促進、発展に寄与することを決意した。

組織

2022年度~2024年度 日本国際理解教育学会 役員・事務局・各委員会・事業分担一覧
所属は2022年4月1日現在

役員 (五十音順)

会長 永田佳之聖心女子大学
副会長 釜田聡上越教育大学
中山京子帝京大学
常任理事 石森広美北海道教育大学
桐谷正信埼玉大学
小林亮玉川大学
曽我幸代名古屋市立大学
理事 伊井直比呂大阪公立大学
市瀬智紀宮城教育大学
菊地かおり筑波大学
橋崎頼子奈良教育大学
原瑞穂上越教育大学
福山文子専修大学
藤原孝章同志社女子大学
松倉紗野香埼玉県立伊奈学園中学校
嶺井明子前筑波大学
森田真樹立命館大学
山西優二早稲田大学
監事 林敏博名古屋市立大学
天野幸輔名古屋学院大学

事務局

事務局長 曽我幸代
事務局次長 孫美幸文教大学
和田俊彦跡見学園中学校高等学校

委員会・各種事業

研究・実践委員会 石森広美委員長
市瀬智紀副委員長
橋崎頼子
吉村雅仁奈良教育大学
由井一成早稲田大学
風巻浩東京都立大学
南雲勇多東日本国際大学
紀要編集委員会 桐谷正信委員長
森田真樹副委員長
川口広美広島大学
渋谷真樹日本赤十字看護大学
坪田益美東北学院大学
松尾知明法政大学
松倉紗野香
国際委員会 小林亮委員長
嶺井明子副委員長
原瑞穂
上別府隆男福山市立大学
タスタンベコワ・クアニシ筑波大学
阿部裕子東京福祉大学
広報委員会 中山京子委員長
福山文子副委員長
菊地かおり
神田和可子聖心女子大学
社会連携事業 藤原孝章委員長
岩坂泰子広島大学
異己プロジェクト事業 釜田聡委員長
姜英敏中国・北京師範大学
重点課題事業 山西優二委員長
伊井直比呂副委員長
横田和子広島修道大学
海外学会等連携 金仙美韓国・中央大学校
姜英敏
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